【事例03】自筆証書遺言の落とし穴

相談内容

お父様が亡くなられたXさんは、自筆の遺言書を持って相談に来られました。 検認の手続きを経て、 遺言書の中身を確認したところ、「マンションと現金はすべてXさんに与える」という内容のものでした。しかし、ここで問題が起こります。実は、お父様はこのマンションに3部屋を所有していたのです。法務局に確認したところ、「不動産が特定できていないので遺言による名義変更は難しい」という返答。せっかく作った遺言書が使えないということです。

解説

結局は、他の法定相続人を交えて、遺産分割協議にて不動産の名義変更を行いました。相続人全員から、実印と印鑑証明書を集めるのに大変苦労されました。 当たり前の話ですが、亡くなられた後の手続きがどうなったかということは、遺言書を書かれたご本人は知る由もありません。今回のように、不動産を相続させるために、自筆で遺言を書く際には、必ず不動産を特定できる書き方が必要です。できれば、登記簿謄本をとり、そこに書かれている所在、地番、地目、地積、家屋番号などを書くことが望ましいです。もしくは遺言書作成の際には専門家にご相談いただくことをお勧めします。

ポイント!

自筆証書遺言と検認手続きはセットです。

●自筆証書遺言

自筆証書遺言は、その名の通り自分で書いて作成する遺言です。いつでもどこでも書くことができますし、訂正なども簡単で秘密も守られます。しかし、家庭裁判所での検認が必要であったり、作るときの手軽さが後日争いの可能性を高めることにもなります。
※自筆証書遺言のメリットとデメリット
メリット……(1)比較的簡単に作成できる (2)費用がほとんどかからない
デメリット…(1)全部自分で書かなければならない (2)偽造されやすい (3)相続人の中で不都合な人に見つかれば隠される可能性がある (4)争いになりやすい (5)無効になる可能性がある(書き方や内容に不備がある場合) (6)家庭裁判所による検認が必要

●検認

自筆証書の場合は、そのままでは使うことができず、まずは家庭裁判所で検認という手続きが必要です。
手順は……
(1)遺言を書いた人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍等を集めて、相続人を確定
(2)その相続人の住民票を集めて住所を確定
(3)検認の申立書と上記①②を裁判所へ提出して受付してもらう
(4)数日後、家庭裁判所から召集の書面が相続人全員に送られる
(5)検認の日の当日、遺言書を持っている人が裁判所に持って行って開封
このような流れとなりますが、申し立てをしてから1ヵ月から2ヵ月かかることもあります。また、検認はその遺言書が有効か無効かを判断するものではなく、こんな遺言書があります、ということを証明するだけの手続きです。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会 ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。