【事例05】外国に住んでいる相続人

相談内容

長男のLさんはお母様を亡くされ、相続手続きの相談にいらっしゃいました。相続人は、長男・長女・次女の3人。亡くなったお母様は7つの銀行に口座をお持ちなのと、不動産もいくつかお持ちでしたが、まずは預金の解約を急いで済ませたいというご要望です。
その理由は…Lさんは日本に住民票がなく、ドイツにお住まいで2週間後には戻らなければならないとの事。当然ながら印鑑登録もしていませんでした。

解説

通常、各金融機関で相続手続きをするにあたり、日本に住民票のない相続人は在留証明書やサイン証明書を提出する必要があります。
在留証明書等を取得するには、居住地ドイツの領事館に足を運んで頂く必要がありますが、Lさんがお住まいの地区から、領事館までは相当な距離があるようで「領事館には行きたくない」との事。
では、日本にいる間だけ住民票を日本に移し、印鑑登録をした上で2週間以内に分割協議書をまとめてしまおうかとも考えましたが、課税関係や時間的な問題もあり、このプランは却下しました。
そこで採用したのが公証人役場で手続きを行う「目撃認証」です。
各金融機関の相続手続き書類を持参して公証役場へ訪問、公証人の面前ですべての書類に署名しました。この方法を使えば、サイン証明書と同様の効果を得ることができ、ドイツの領事館に足を運んで頂く必要はなくなります。

ポイント!

在留証明やサイン証明は在外公館(領事館)で手続きを行いますが、目撃認証は公証役場での手続きとなります。

●在留証明

外国にお住いの日本人が当該国のどこに住所(生活の本拠)を有しているか、あるいは当該国内での転居歴(過去、どこに住んでいたか)を証明するものです。
在留証明は、あくまでも現在外国にお住いの方(日本に住民登録のない方)が不動産登記、恩給や年金手続き等で日本の提出先機関から外国における住所証明の提出が求められている場合に発給される一種の行政証明です。
既に日本国籍を離脱された方や喪失された方、日系人を含む外国籍者は発給の対象外となります。但し、既に日本国籍を離脱・喪失された方には例外的な措置「居住証明」で対応する場合もあります。

●サイン証明(署名証明)

日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続きのために発給されるもので、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされた事を証明するものです。日本国籍を有する方のみ申請ができます。

●目撃認証

当事者が公証人の面前で証書に署名又は押印をし、その真正を公証人が証明することです。
その文書が真正に成立したこと、すなわち文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。法律効果に直接間接に影響のある事実が記載されていれば認証の対象になります。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会 ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。