【事例06】『退職金』の内訳で相続税も変わります

相談内容

Yさんはある上場企業に勤めていましたが、重い病にかかり闘病生活の末、お亡くなりになりました。
相続人は奥様とご子息。奥様は初めての相続で何をしたらよいかわからないこと、これからの将来のこと、相続税のこと等で悩まれ、まずは税務署に相談に行かれましたが、話を聞いても難しく、また、あまり親身に教えてもらえなかったとの事で相談にいらっしゃいました。
相続財産は4,000万円の土地と退職金が多額にあるとの事で、相続税がいくらかかるのかを特に心配されており、詳細を伺うと退職金は5,000万円支給されたとの事です。

解説

調べていく中で、退職金5,000万円のうち2,400万円が保険金、2,300万円が退職金、300万円が弔慰金であることがわかりました。ただし、生命保険と退職金はそれぞれ1,000万円が非課税(法定相続人数×500万円)で、弔慰金の300万円も非課税(給与の半年分)なので、実際は5,000万円全額ではなく、2,700万円だけが税金のかかる財産となります。
退職金が支給される場合、どのような内容かを確認することは非常に大切です。課税される財産が、合計6,700万円で相続税の基礎控除の額が7,000万円ですので、相続税の申告をしなくても良いことがわかり、安心されました。
※事例は平成26年のものです。平成27年以降にお亡くなりになった場合は相続税の基礎控除額が変わっていますのでご注意ください。

ポイント!

上記の事例は普通の社員ですが、もし会社の役員が亡くなった場合は、少し特殊な手続きが必要となります。しかし、基本的には会社の総務などが主導して手続きを行うことが多いものです。役員の遺族が 押印する書類は、経営にかかわるものが多いので、内容や中身はきちんと理解したうえで押印してください。

●会社役員変更登記

死亡してから2週間以内に、役員変更登記をおこなわなければなりません。もし、しなかった場合は100万円以下の過料(会社法976条1項1号)に処せられる可能性がありますので、できるだけ期限内に登記するように気を付けましょう。しかし、期限を過ぎた後でも、登記の申請は受理されます。
登記を期限内にしなかったとして、会社の代表者に対して過料が科せられる可能性はありますが、実際は半年から1年ぐらいの相当長い期間を過ぎないと登記官は裁判所に通知しないようです。
あまり神経質にならなくても良いと思いますが、できるだけ早めに行いましょう。

●役員借入金の債務者変更

会社の代表者が亡くなった場合は、会社の借金の債務者を新しく誰にするか、新しい会社の代表者は銀行等と交渉しなければなりません。会社への貸付金があれば、ほとんど返ってこないにもかかわらず債権として相続財産になるので、要注意です。
生前に、会社と役員の金銭的な貸し借りを処理しておかなければ、相続のときにつけが回ってくることになります。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会 ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。