【事例08】終わったはずの年金や保険の手続き

相談内容

先日、相談に見えたT子さん。
「年金、保険については区役所の窓口で相談してすべて済ませましたので…。故人が残した遺言書にもとづいて家の登記関係と故人の使用していた乗用車の名義変更をお願いします」とのことでした。
T子さんはマンション経営をするEさんと10年近く夫婦同然に同居をしていましたが、籍はいれておらず、Eさんが先月亡くなられた為、手続きのことで相談にみえたのです。Eさんの長男の代わりにT子さんが区役所に行って、国民健康保険証を返却し、葬祭料などの受給手続きをされました。しかし、Eさんの未支給年金について区役所は、「ご長男は同居されていませんので、受給資格がありません」との回答でした。

解説

結論から先に述べますと、この区役所の回答は、現況(T子さんが10年近くEさんと夫婦同然の同居をしていた事実)を正しく把握した上での回答ではありません。T子さんには未支給年金の受給資格があります。たとえ籍が入っていなくても、配偶者と同等の状況にあり、生計を同一に営んでいれば『未入籍の妻』として認められます。今回の事例では、区役所の窓口でT子さんが自らの現況を説明しなかったために、職員は親族関係だけを聞き取り、そこから判断して「受給資格者に該当する方はありません」と答えたのでしょう。

ポイント!

役所で保険や年金について、すべて相談したつもりでいても、手続き漏れが発生することがあります。手続き漏れや請求漏れが多いものについて説明します。

●未支給年金

年金受給者が死亡した場合には、未支給年金の請求が必要となります。
年金は2ヶ月に1回(2・4・6・8・10・12月)に前月と前々月分が支給されますが、受給途中で亡くなられた場合は、死亡日の属する月まで支給されます。
例えば、7月に死亡した場合は、7月分まで支給されますが、本来7月分は8月に支給されるはずが、死亡されているために支給できない状態にあります。これを未支給年金と言います。
未支給年金は死亡した年金受給していた方と生計を同じくしていた配偶者や子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹等が請求して受け取ることができます。
※この配偶者には未入籍であっても事実上婚姻関係と同様の事情にあった方も含まれます。
よって、今回の事例のT子さんはEさんの未支給年金の受給資格があったのです。

●介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料などの還付

国民年金は後払いに対して、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などは先払いとなっており、受給している年金から天引きされています。
※天引きは年金の種類や年金額によって一定の制限があるため、全員が天引きされる訳ではありません。例えば、8月に支給される年金から8月分と9月分の保険料が天引きされますが、8月に死亡した場合には9月分の保険料について、手続きをすれば還付が受けられます。 

以上のように、知っているか・知らないかで差が出ることもありますので参考にして下さい。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会 ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。