【事例27】相続人が誰なのか、どこに住んでいるのか、わからない?

相談内容

相談に来られたのは、被相続人Aのお孫さんT(長女の息子)でした。
Aさんが亡くなり、預金があるが相続人全員の印鑑証明と実印が無ければ、引き出しすることができないために、どうすればよいのか、Aさんの妻であるBさんが困っているとのことでした。
被相続人Aの家族関係については、妻Bと子供2人(長女C、長男D)の一般的な家族構成でした。ただ家族間での付き合いがありませんでした。長男Dは早くに実家を出て、既に他界しておりました。
長女CはTをおいて20年ほど前に失踪し、生存しているかどうかわからないとのことでした。妻Bは、長男Dが結婚しているか、子供がいるかどうかもわからない状態で、付き合いがあるのは、長女の息子で孫にあたるTさんだけでした。
Tさんは関東在住で、また相続人をどのようにしらべればいいのかわからないということで、Bさん、Tさんのお2人で相談に来られました。

解説

戸籍を調査した結果、長男Dには子供が2人いることが判明しました。また長女についても、生存していることが確認でき、戸籍の附票により現住所も調べることができました。これで、相続人の特定と住んでいる住所がわかりました。
最初は面識がない相続人との話し合いは不安に思われていましたが、予想外に話はスムーズに進み、手続きも無事完了することができました。後日談ではありますが、長女Cも自分の母と息子のことが気になっていたとのことでしたが、なかなかきっかけがなく、連絡もできなかったと話されておりました。
父であるAさんが亡くなったことは悲しいけれど、結果として母と息子に連絡できるようになったことを喜んでおられました。

ポイント!

●相続人の確定

相続人は法律で定められており(法定相続人)、被相続人と一定の血族関係にある親族(血族相続人)と配偶者(配偶者相続人)がなります。この血族相続人は、第一順位が「被相続人の子」、第二順位が「被相続人の直系尊属」、第三順位が「被相続人の兄弟姉妹」です。
血族相続人においては最優先順位の親族のみが相続人となります。すなわち、被相続人に子がいればその子が相続人となりますが、子がおらず直系尊属(父母等)が健在のときはその直系尊属が、子も直系尊属もいないときは兄弟姉妹が相続人となります。子や兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、子や兄弟姉妹の子が相続人となります。配偶者は常に相続人となります。
このように誰が相続人になるかは、被相続人が死亡した時点で、法律によって定まります。相続手続きを行うには、まず法定相続人が誰かを確認することが必要です。
法定相続人が誰かは、被相続人や相続人の戸籍で確認します。被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍、相続人の戸籍で確認していきます。被相続人に子がいない場合や相続人となる人が既に亡くなっている場合などには、より多くの戸籍を確認する必要が生じます。

●相続人が行方不明の場合

相続人となる親族間でも交流がなければその所在が分からないといったケースはよくあります。ただ没交渉や連絡先を知らないだけでは、本当の意味での行方不明ではありません。
結果の欄にもありますように「戸籍の附票」という書類を取り寄せることで、相続人の住所を把握することができます。この「戸籍の附票」は、戸籍と一体化して住民票記載の住所地の移転が記録されています。「戸籍の附票」により住民登録している所在場所を確認できるのです。所在場所を移転したにもかかわらず住民登録を移転していない場合や、登録した住民票の住所が職権で消除されている場合などには、確認することができなくなります。このような場合には、実際に最後の住所地に行ってみて、近所の方や不動産屋等に聞き込みすれば何らかのヒントが得られることもあるでしょう。
「戸籍の附票」により住民登録している住所を調べても、近所で聞き込みをしても、相続人の所在が把握できず本当の意味での行方不明である場合には、不在者財産管理人選任の申立や失踪宣告の申立など家庭裁判所での手続きが必要となってきます。