【事例43】ネット銀行・ネット証券の手続

相談内容

「父が亡くなり相続手続をしたいのですが、通帳が10冊もあって・・・」と長女Aさんからご相談をいただきました。
Aさんはご主人と会社を経営されており、お父様の相続手続をする時間をあまりとることはできず、かといって、高齢のお母様にたくさんある通帳の手続を任せられないというご相談でした。
早速、Aさんとお母様にお会いしました。お父様はご自分で資産管理をしていて、お母様も詳しいことは分からないとのこと。まずは相続財産を確定する為、お持ちの通帳や各金融機関からの案内等の郵便物を通して、財産調査を進めていきました。

結果

お父様は退職後に健康維持を目的に短期のアルバイトを多数されていたそうで、その度毎に作成したと思われる預金通帳がたくさんあり、年金受給口座や資産を管理していた口座も含めると、Aさんがおっしゃるように通帳が10冊ありました。その多くは少額でしたが、一件ずつ問い合わせていったところ、数十万の定期預金が2本見つかりました。
同じように、各通帳の取引履歴も一つずつ確認していきました。
そうすると、Y銀行の通帳にネット銀行である「R銀行 自払」との記載がありました。そこで、もしやと思い、R銀行に確認したところ、R銀行にもお父様の口座があることが判明しました。
郵便物からは、年金支払開始に至っていない個人年金保険があることが分かりました。また、お母様によると、お父様は株や投資信託をしており、株価の変動に一喜一憂していらっしゃったというお話だったのですが、通常、証券会社から定期的に送付されてくる残高報告書等が見つかりません。そこで、お父様が使っていたというパソコンを立ち上げていただいたところ、お気に入り欄にネット証券であるK証券が登録されていました。どうやらK証券でネット取引していたようです。早速、Aさんより委任状をいただき口座を確認しました。
10冊の通帳に加え、ネット銀行等があった為、煩雑な手続となり時間がかかりましたが、Aさんやお母様からは、「自分たちではとてもできなかった」とお喜びいただきました。

ポイント!

●ネット銀行・ネット証券

相続財産の金融資産は、通帳や定期的な郵送物を通して確認していきますが、ネット銀行やネット証券は、ネットで完結する為、通常、そうした紙ベースでの証がありません。パソコンのお気に入りや閲覧履歴、メール等で確認するしかないのですが、そもそもパソコンにログインできなければ、相続人は即座にその財産の存在を把握することが困難となります。
また、窓口がある金融機関と異なりネット銀行やネット証券の場合には窓口がなく、電話での確認と郵送での書類送付で対応するしかない為、調査にも手続にも時間と手間を要します。
とはいえ、取引していることさえわかれば、相続人として調査をすることは可能ですから、ご家族などに、ネットで取引している会社名を前もって伝えておくと良いでしょう。

●デジタル遺品

「終活」ブームの中、故人が利用していたパソコンやスマートフォンなどのいわゆる「デジタル遺品」の対処方にも関心が高まっているようです。
「終活」の一環として、財産や身の回りの物の整理だけでなく、パソコンやスマートフォン内の情報の整理、SNSへの対応方法等も確認、検討しておくのが良いようです。