【事例45】戸籍上は親子でなくても

相談内容

被相続人であるXさんは、戦争で若くして亡くなった姉Bさんの夫であるAさんと結婚をしました。
BさんとAさんの間には既に2人の子供がおり、Xさんはその後3人の子供を授かりました。5人の子供すべての父親はAさんで、いわゆる異母兄弟姉妹となります。一般的に後妻がある場合、前妻の子と後妻は赤の他人の関係であることが通常ですが、今回はXさんとBさんが実の姉妹のため、後妻であるXさんにとって前妻の子は甥姪にあたります。
昭和初期には戦争で亡くなる方が多かったため、このようなケースは決して稀有なことではありません。Xさんと上の2人の子供は養子縁組をしていませんでした。

結果

Aさんが亡くなられたとき、Xさんと5人の子供とで相続手続を行いましたが、その際、Xさんは自分に万が一のときには上の2人の子供と養子縁組をしておかない限り、自分の相続人は下の子供3人だけになることを知りました。
しかしこの家族は非常に仲が良く、その後もXさんを5人の子供がそれぞれ面倒を見ていることもあって、Xさんは、争い事は起きないことを信じ、養子縁組をしませんでした。
そして、自分亡き後も兄弟姉妹が仲良く今まで通り助け合って生きていって欲しいとの願いを込めて、5人の子供みんなに財産が平等に行きわたるような内容の自筆の遺言書を残されました。
Xさんの死後、その遺言書は、実際には、法的に不備となってしまう、財産も記載されていない不完全なものだとわかりましたが、Xさんの母としての子を想う気持ちを伝えるには十分に大きな存在価値を持つものでした。
法定相続人となった下の子供3人は、法定相続人とならなかった兄姉たちとも相談し、Xさんの遺志を尊重し5人平等に財産を分けることを全員で決めました。そこで、まず下の子供3人で遺産分割協議を行い、相続手続きを完了させ、代表して多くを相続した1人から、法定相続人とならない上の2人に対し、年間贈与税の基礎控除額を下回る金額を毎年Xさんの命日に贈与契約することとしました。
このようにして天国にいる母親Xさんの5人の子供を等しく思う気持ちが実現されました。

ポイント!

●実子と養子の法定相続分

配偶者は常に相続人となり、子がいれば第一順位の相続人となりますが、法律上の夫婦や親子であることが必要で、そうでない方が夫婦や親子同然に暮らしていたとしても相続権はありません。
いわゆる内縁の妻(夫)は相続人ではなく、前妻(夫)との間の子(いわゆる連れ子)は、後妻(夫)と養子縁組をしないかぎり後妻(夫)の相続人にはなりません。なお、実子と養子で法定相続分に差異はありません。

●暦年贈与

遺言書等がない場合に、相続人以外の方と財産を分割したい場合は、相続人が一旦受け取って相続人以外の方へ贈与をする方法が考えられます。
贈与に関しては贈与税が課されますが、贈与税の計算に当たっては、受贈者1人当たり1年につき110万円という基礎控除があります。従って、110万円以下の贈与であれば、原則として贈与税の申告は不要です(暦年贈与)。
いわゆる相続税対策として、生前に暦年贈与を受ける方も多く見受けられます。なお、贈与税は贈与を受けた人が1年間に贈与された総額に対してかかるものです。
従って、110万円以下の贈与を複数の人から(例えば祖父と祖母両方から)受けて、結果110万円を超える場合には申告が必要となりますので注意が必要です。