お坊さんの手配

　日本のお葬式の90％は仏式で行われています。以前は菩提寺として先祖代々お寺との付き合いのある家が多くありました。先祖代々受け継がれたお墓がお寺にあり、そのお寺さんと長きにわたりお付き合いをし、葬儀などがある場合は、そのお寺のお坊さんに読経、供養してもらい故人の成仏を祈ってもらいました。しかし近年は、様々な事情から供養の方法が多様化し、お寺との付き合いがない家庭も増えています。そうした中、家族や身内が亡くなった際、お葬式は仏式でするけど、宗教・宗派が分からない、菩提寺はあるが、遠方のためお坊さんを呼ぶことができないなど、お坊さんの手配をどのようにしてよいかが分からないという相談がとても多くなっています。葬儀を依頼する葬儀社へ相談をすれば、基本的に宗教・宗派ごとにお坊さんを手配することは可能です。しかし、こうしたお寺との付き合いが希薄になっている事情から、「御布施や御車代をどのくらい払えば良いのかが不安である」、「高額なお布施は避けたい」、「お寺との継続的なお付き合いを望まない」などの理由で、必要な時だけお坊さんを手配するケースが増えています。

　一方ではこうした事がトラブルに発展するケースも増えています。例えば、菩提寺が遠方にあるなどの理由で、葬儀の際は菩提寺ではなく別のルートでお坊さんを手配し、戒名をつけてもらい、いざ菩提寺に納骨をしようとした際に、菩提寺に事前に断りをいれていなかったため、菩提寺との関係が悪化したり、宗派が違っていたため、戒名を付け替えるように求められたりし、揉めるケースも後をたちません。また、お坊さんへ支払うお布施や戒名の費用に明確な基準がないため、金銭面での不安もつきまといます。
いずれにしても、菩提寺以外でお坊さんをお願いする場合には、親族や親戚への確認・同意、もし菩提寺がある場合は、そこへ事前に話をするなど、根回しが重要になります。

　自分の家の宗教や宗派が分からない場合は、まずは身内、親戚などに確認してみましょう。それでも分からない場合は、先祖のお墓が寺院にあれば、そのお寺の宗教宗派を確認し、御自宅に仏壇や位牌があれば、そこから判別できる場合があります。

　通夜・葬儀・法要でお坊さんに支払うお布施に明確な決まりはありません。葬儀社に相談すれば目安は教えてくれると思いますが、あくまでも目安で、明確な答えはありません。地域格差やお坊さんとの付き合いの深さなどもありますが、一般的な通夜・葬儀のケースで、枕経・通夜～葬儀・火葬場での読経・供養、戒名、御車代、御膳料で30万円～60万円が相場だと言われています。しかし近年は直葬で火葬場だけで読経してもらう場合や、お寺とのお付き合いが減少していることなどもあり、上記よりも低い費用で行ってもらうケースも多くあるようです。また、こうした金額が不明瞭なことに対して、不安持つ人が増えていることもあり、固定の金額でお坊さんを手配してくれるサービスを提供する会社も増えています。考え方が多様化しているため、どちらが良い・悪いということはありません。家族や親族にもよく相談してから決めるようにしましょう。

　私たちは、お坊さんが行うことは「究極のサービス業」であると位置づけております。お経が読めるのは当たり前、お客様が本当に求めるものは何か？を常に追い求め、お客様が満足していただける付加価値を創出し続けています。